皇族に関する登記先例

 古いものですが、皇族に関する登記先例を見つけましたので、参考に記載しておきます。
 「松平恒雄死亡により相続開始した場合において、その長女秩父宮勢津子妃殿下に相続権がある。この場合の相続を証する書面としては、妃殿下の婚姻前の戸籍謄本を添付すれば足りる。(昭29、6、1、民事甲第1、125号民事局長電報回答・先例集下2201頁、登研80号)」

 松平恒雄氏(まつだいら つねお)は、元会津藩主・京都守護職の松平容保の六男です。
血統がすごいですが、一般の方です。
秩父宮勢津子妃殿下(ちちぶのみや せつこひでんか)は、上記の松平恒雄氏の長女です。
通常であれば、父である松平恒雄氏が亡くなると、当然相続する権利があると言えます。

 しかし、相続が発生した時点で、勢津子妃殿下は、皇族の秩父宮雍仁親王(ちちぶのみや やすひとしんのう)の妃になられていました。勢津子妃殿下は皇族だったわけです。
そこで、相続登記をするにあたって、皇族と一般の国民と同じ取扱いでいいのかどうかが問題になったのでしょう。その回答として上記登記先例が出されました。
 上記登記先例では、勢津子妃殿下が皇族になられたとしても、父に関する相続権があることが確認されています。ただ、添付する戸籍としては、結婚前のものでいいということになっています。
 通常、我々一般の国民は、婚姻前の戸籍だけでは登記は受理されません。
 天皇や皇族には、皇統譜(こうとうふ)と呼ばれる記録があるようですが、戸籍はないようです。そうした皇族であることの特殊性が考慮されたのでしょう。
 少し「へー」と思いましたので記録しておきます。

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